中古マンションをより安全に!
以前から問題視されていたアスベスト公害に加えて、土壌汚染問題、耐震偽装問題など
近年不動産・建設に絡む不祥事が相次いだことで、中古マンション市場に対する不透明なイメージ
が増幅し、中古マンション不信を招いてしまいました。
また、ここ数年首都圏だけで年間八万戸という中古マンションの大量供給が続いて
いますが、見た目には各物件にそれほど差がなく、判断に迷っている方も多いのではない
でしょうか。いろいろな物件を見比べて決めたいと思っても、第三者の視点からチェック
できる資料といえば不動産鑑定評価書やエンジニアリング・レポートといった基本的には
プロ向けのものしかありません。こうした資料は高額なうえ、専門的すぎて、一般の方の
期待にこたえることはできないでしょう。
こうした事態を受け、「不動産市場を透明なマーケットにしなければ」という不動産市
場変革の必要性を痛感した一級建築士・不動産鑑定士・土地家屋調査士の専門家たちが集
まり、「不動産に関して特別な知識を持たない一般の方でも、安心して不動産を購入でき
る」情報システムを開発しました。それが「不動産格付システム」です。マンションの購
入候補物件を決め、この「不動産格付システム」をどのように皆様に活用していただくの
かは、本サイトのなかで述べております。
需要好調でマンションの大量供給が続く
東京 23区の中古マンションの発売戸数は一九九九年から二〇〇五年まで七年連続で八万戸
を超えていました。バブル期の発売戸数は年間四万戸程度ですから、バブル期の二倍近い
大量供給が続いていたわけです。
〇六年の発売戸数は前年比一一・五%減の七万四〇〇〇戸にとどまりました。販売価格
の先高観が強まっていることから、特に都心の好立地物件で発売時期を遅らせる(売り惜
しみ)傾向が出てきたことが供給の減少につながったようです。
地価の先高観を背景に、ディベロッパi各社は用地の取得を前倒しで進めています。通常なら、二年程度先に販売する物件の用地を確保していますが、最近では大手が競うよう
に三年先までの販売分の用地の手当てを急いでいます。
大手ディベロッパー各社の中古分譲マンション戦略をみると、東京23区を中心とする中古マンションの大量供給は今後も続きそうです。
ただし、販売の中心は都心部から郊外に移りそうです。都心部では地価の上昇に加えて、
企業の遊休地の放出も一巡しているので、大規模マンションの開発が難しくなってきてい
ます。埼玉、千葉などで販売が増えるなど、すでに「ドーナツ現象」の兆候が見受けられ
ますが、今後も郊外で大規模マンションの開発が進みそうです。
また、足元の需要は旺盛で、東京23区の〇六年度の発売初月の契約率は八○%を超え
ています。堅調な需要に支えられ、販売価格は前年度比六・八%増の五二〇〇万円と上昇
基調が鮮明になっています。その一方、郊外で立地条件が悪いと売れ残りが目立つ物件も
あります。
ディベロッパー各社は大量供給に見合うだけの潜在的な需要があるとみているようです
が、こうした見方の根拠になっているのが世帯数の増加です。日本の人口はついに減少に
転じてしまいましたが、離婚の増加や晩婚化の影響で世帯数はまだ増え続けています。
国立社会保障・人口問題研究所は、世帯数が〇五年の四九〇〇万から一〇年には五〇〇
〇万世帯を突破し、一五年ころまで増え続けると予測しています。特に、人口流入が続く
東京 23区圏では、世帯数が伸びそうです。
住宅へのニーズが戸建てではなく、中古マンションに向かっているのは団塊の世代が利便性
の高いマンションへの購入意欲を高めているからです。子供がすでに独立し、〇七年から
六〇歳定年を迎える世帯には、広い戸建ては必要ないようです。また、団塊ジュニアと呼
ばれる年代の一次取得の動きも続いています。
需要層が拡大していることで、中古マンションに対するニーズも多様化しています。こうし
たニーズに対応するため、ディベロッパー各社は物件の差別化に知恵を絞っていますが、
画】的な物件が減少しそうな時期にこそ、消費者には「自分にとって本当に必要なものは
なにか」という冷静な姿勢が求められます。
地価も金利も上昇に転じ、販売価格も上昇へ
東京23区圏の中古マンションの売れ行きは好調を続けていますが、人気は二極化しています。
「人気」がある中古マンションが必ずしも「良い」中古マンションとは限りませんが、「人気」のマ
ンションは早めに完売してしまうようです。そんななか、購入環境に大きな影響を及ぼす
地価と金利が上昇に転じてきています。
まず、地価ですが、国税庁が二〇〇七年八月に公表した〇七年分の路線価(土地の一平
方メートル当たりの標準価格で、相続税や贈与税の算定基準となる地価のこと。・王要道路
に面した、全国約四一万地点が対象)で、全国の標準宅地の平均価格が二年連続で上昇し
ました。
さらに、二〇〇七年一月一日時点の公示地価(国土交通省調べ)でも、住宅地の全国平
均地価が一六年ぶりに上昇し、地価の反転上昇が東京、名古屋、大阪の三大都市圏から地
方の中核都市に波及していることが改めて裏づけられました。
依然として地価の下落傾向に歯止めがかからない地域もたくさんありますが、大都市圏
を中心に地価の下げ止まり感、あるいは先高感が一段と広がっているようです。地価も
「二極化」しているといっていいでしょう。
都心部などでは、ディベロッパー間のマンション用地の取得競争が激化し、路線価の二
〜四倍の価格で取引されている土地もあります。地価の上昇は、当然マンションの販売価
格の上昇要因になります。東京23区の中古マンションの場合、ディベロッパーが土地を仕入れてから販売するまで一年以上はかかります。地価上昇分(ディベロッパーからみればコスト)の販売
価格への転嫁が進むと予想されます。
また、高騰した原油価格が建材に価格転嫁されてくる点、中国を中心とするアジアの建
設ラッシュなど、建築費の上昇を招くことも懸念される状況です。
一方、日銀の金融政策変更に伴い、〇六年七月以降、住宅ローン金利に影響を及ぼす市
場金利も上昇し始め、金融機関が相次いで住宅ローン金利を引き上げました。
マンション購入予定者にとっては悪いニュースかもしれませんが、「今後も金利の上昇
が続く」と予想する専門家が増えています。長期国債の利回りは〇七年一月から四月にか
けて一・六〜一・七%で推移していますが、金融市場関係者の問では「将来三%台に乗せる」との見方も出ています。
住宅ローンの金利に関しても、まだ一%以上上昇する可能性があるということです。