立地を調べる
各種アンケート調査によると、「マンションを選ぶ際に最も重視するポイント」の第一
位は「立地」だそうです。売る側のディベロッパーも「立地のいい物件は売れる」と自信
を深めています。
それでは、「いい立地」とはどのような立地なのでしょうか。これは人によって意見が
分かれるところでしょうが、一般的には都心部、東京なら自由が丘や田園調布などのブラ
ンドカのある地域、東京都心へのアクセスが便利(通勤・通学時間が短い)、さらに最寄り駅
に近いといった利便性に優れた地域のことを指す場合が多いようです。
利便性がよければベストな立地なのかといえば、必ずしもそうとはいえないはずです。
たとえば、駅に近いということは、電車の騒音や人が行き交う雑踏が気になる可能性もあ
ります。昼間家にいて、静かな環境を望むという人にとっては、駅の近くよりも少し離れ
たところのほうが「いい立地」ということになります。
自然環境を重視すると、東京都心よりも郊外という選択になりますから、どうしても利便性
は悪くなってしまいます。それでも、環境を重視する人には「いい立地」なのです。
利便性と環境の両立は難しいので、各人のライフスタイルに合わせて、どちらかを重視
して選ぶしかありません。
モデルルームを訪れただけ、あるいは中古や分譲マンションの広告を見ただけでは、マンショ
ン周辺の環境はわかりません。
東京・23区の世田谷区の成城や大田区田園調布はいわゆる閑静な高級住宅街ですが、それぞれ
幹線道路に面したエリアがあります。住環境が住居表示のイメージとは大きく異なる場合
もあるわけです。
中古マンションの周辺地域は自分の生活圏になるわけですから、業者が作成した周辺地図で
チェックするだけでは不十分です。必ず自分の足で歩いて、生活しやすい環境かどうか自
分の目で確かめましょう。
ライフスタイルや家族構成によって、あれば便利という施設はまったく違ってきます。
自分や家族が必要とする施設の有無や、施設までの距離・所要時間を現地訪問でチェック
してください。その際、将来家族構成が変わることも考慮しておく必要があります。
まず、日常生活に必要な商店街、スーパー、コンビニなどの場所を確認しましょう。合
わせて、営業時間帯や定休日も把握しておいてください。
子供がいる世帯では、保育所・幼稚園・小中学校までの時間だけでなく、通園・通学路
の雰囲気も確認してください。
銀行、郵便局などの金融機関、役所、図書館などの公共施設、さらにクリーニング店が
近くにあると便利です。
病院に関しては、総合病院のほか、小児科、歯科など家族が必要とする施設が揃ってい
れば安心できます。
小さな子供がいる世帯では、近くに公園など子供を遊ばせる場所があるかどうかもチェ
ックポイントになります。
中古マンションの敷地内に駐車場を確保できない場合には、周辺の駐車場の場所と賃料も調
べる必要があります。
また、朝・昼の明るい時間帯と、夜の暗い時間帯とでは、街の雰囲気が一変する場合も
あります。昼間は人の行き来があってにぎやかなのに、夜になるととたんに人通りが途絶
え、歩くのが心細くなってしまうといったケースです。
平日と休日とでも周辺の環境が様変わりする地域もあるでしょう。
ですから、現地訪問は、時間帯を変えて、複数回行うことが大切です。特に、夜間には
道路に防犯灯が設置されているか、人目にふれにくい危険な場所がないかといった防犯面
のチェックが必要です。
通勤・通学に車の利用を予定しているなら、交通量もチェックポイントになります。交
通量は、晴れの日と雨の日とではかなり異なる場合があるので、晴雨両方をチェックして
おきたいところです。
スーバー、コンビニ、金融機関、幼稚園・小中学校、公園、病院など「周辺環境」も重
要なチェックポイントの一つです。
買い物施設、公共施設、教育施設などが近くにあれば、利便性が高く、いい環境という
ことになります。ただし、周辺環境に関しては、いい面の裏側に悪い面が潜んでいる場合
があるので注意が必要です。
たとえば、近所に病院があるといざという時でも安心できますが、一方でその病院が救
急指定を受けていれば、昼夜を問わず救急車が出入りしてうるさいというデメリットもあ
るのです。
同様に、小学生がいる世帯にとっては、学校が近くにあれば安心できますし、南側が学
校の校庭に面していれば日当たりもいいはずですが、学校は子供たちの声がにぎやかです
し、強風が吹けば校庭の砂が舞って掃除が大変になる恐れもあります。
コンビニが近くにあれば二四時間利用できて便利ですが、夜中でも若者がたむろしてう
るさいということもありえるでしょう。
また、公園などの緑地が多ければ心地よいはずですが、子供の騒ぎ声やイベントによる
音など、さらに虫を不快に思う人もいるでしょう。
このように、周辺環境には通常、プラス面があればマイナス面もあるのです。プラス面
は周辺を散策しただけでわかりますが、マイナス面は実際に住んでみないとわからないケ
ースが多いといえます。
周辺環境のプラス面をチェックするのは当然ですが、合わせてマイナス面も我慢できる
範囲内かどうかを考慮してみてください。
接地が空き地で日当たりがよかったのに、その空き地に自分の中古マンションよりも高いマン
ションが建設された結果、窓からの採光が悪くなり、昼間から電気をつけなければなちな
くなったというように、劇的に変化する場合もあるのです。
こうした将来の環境変化は、現地訪問だけではわかりません。でも、あることを調べて
おけば、ある程度将来の変化を推測できるようになります。それは「用途地域」です。
用途地域というのは、「都市計画法」に基づいて、土地の用途に応じて建築できる建築
物を制限するものです。用途地域は物件の広告などに記載されているので、誰にでも簡単
に確認できます。
重要なのは、物件敷地の用途地域を知ることではなく、その意味を理解することです。
東京 23区の用途地域には一二種類あり、「住居系」「商業系」「工業系」の三つに大別できます。日照など周辺環境に大きな影響を及ぼす高さの規制に関しては、住居系・工業系は厳しく、商
業系はゆるくなっています。
中古マンションなどの共同住宅は「工業専用地域」以外の=の地域で建設できます。住居
系だけでなく、商業系や工業系の一部地域でも建てることができるのです。
高さ制限の規制が最も厳しいのが「第一種低層住居専用地域」、「第二種低層住居専用地
域」で、一〇メートルまたは、一ニメートル超の建築物を建てることができません。
これに対して、その他の地域では、一律となる高さ制限はありませんが、概ね都市計画
によって、大きい容積率(建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合)が定められている
地域ほど、高い建物を建てることができます。一般的には、商業系V工業系・住居系とな
ります。
つまり、自分の中古マンションの用途地域が住居系でも、隣地が商業地域なら、将来自分の
マンションよりも高い建物が建てられる恐れがあるということです。
このように、用途地域に関しては、購入を予定している中古マンションの用途地域だけでな
く、周辺の用途地域の種類についても必ず確認しておいてください。
なお、第二種住居地域にはパチンコ店やカラオケボックスが、準住居地域には倉庫や自動車修理工場が、商業地域には風俗店なども建築できてしまいます。用途地域を調べて、
購入後に開店する可能性のある店舗の種類を把握しておくことも、とても重要です。
このように、商業系の用途地域に建てられるマンション、あるいは近隣や最寄り駅周辺
に商業系の用途地域があるエリアに建てられる中古マンションに関しては、特に将来の環境変
化に注意を払う必要があります。
あります。この駅までの所要時間は、毎分八○メートル歩くことを前提に計算されていま
す。したがって、子供やお年寄りなどが歩くと、もう少し時間がかかることもあるでしょう。
また、途中に坂がある場合、幹線道路や歩道橋を渡る場合には、大人でも表示された時
間どおりに駅に着くのは難しくなるかもしれません。
最寄り駅までバスを利用する場合には、交通渋滞によって予想外に時間がかかる可能性
があります。交通量は、曜日や時間帯で大きく異なります。道路がすいている時間帯での
駅までの所要時間がわかってもほとんど意味がありません。大切なのは、通勤・通学時間
帯での所要時間を頭に入れておくことです。
バスの最終便の時刻も調べておきましょう。深夜になって、バスがなければ、我慢して歩く、家族に送り迎えしてもらう、タクシーを利用するという選択になります。タクシー
に頼るしかないという人は、そのコストも考慮する必要があります。
マンションの広告などには「新宿まで三〇分」といった表示もありますが、最寄り駅か
ら東京 23区の新宿、渋谷、池袋、東京といった主要ターミナルまでの所要時間も、ラッシュ時と昼間の時間帯とではかなり異なる場合があるので要注意です。
施設」と呼ばれるものがあります。
一般に、高速道路・幹線道路、ごみ処理場、工場、高圧線(電磁波による健康への不安
感、電波障害、強風時の騒音など)などは嫌悪施設といえます。中古マンションの目の前に高
速道路・幹線道路があると、騒音や排気ガスの影響が懸念されます。幹線道路から一つ道
路に入るだけでも、騒音や公害の影響はかなり違ってきます。
ごみ処理場の場合、異臭のほか、ごみを焼却する際に排出される有害物質が健康に悪影
響を及ぼす恐れがあります。
工場に関しては一概にはいえませんが、その種類によっては騒音や環境汚染などの被害
を受ける可能性があります。
このほか、東京 23区の中古マンションでは駅や線路が近くにあると、騒音や振動が伝わってくることもあります。斎場・火葬場が近くにあるのを嫌う人もいるでしよう。
こうした嫌悪施設の有無を確認することを忘れないでください。
建物を支える地盤がしっかりしていれば安心できますが、逆に地盤が弱いと将来、地盤
沈下が起こる可能性があります。
現在は住宅地でも、以前は砂浜、河川、水田だったという場所もあります。こうした埋
立地は、大地震の際などに液状化現象が起こる可能性があるので注意が必要です。
過去にどんな土地だったのか調べるには、図書館などで古い地図をみる、地元で長く生
活している住民に直接聞いてみるといった方法が考えられます。
中古マンション建設地が低地にある場合、あるいは周辺に河川や池がある場合には、台風や
大雨による水害の被害を受ける恐れもあります。最近では「洪水ハザードマップ」を作成
している自治体が増えているので、参考にしてみてください。
建設予定地が崖のそばという場合には、大雨や地震の影響で崖が崩れて被害を受ける危険があります。
地形に関しては、実際に周辺を歩いて、調べておきましょう。自治体が取り扱う地形図
でチェックすることもできます。