プライバシーと日照
集合住宅である東京23区の中古マンションで快適に暮らすには、プライバシーの確保が必須といえます。
住戸の間取りや設計、設備、さらにマンションの形状・配置などプライバシーを守る方
法はいろいろあります。
なんの気兼ねもなくリラックスして暮らしたい、プライバシーを大切にしたいと考えて
いる人は、プライバシーに配慮した工夫の有無も重要なチェックポイントになります。
玄関ドアと廊下の位置関係で、ドアの向きが廊下に対してストレートになっているもの
をストレートタイプ、クランク状になっているものをクランクインタイプといいます。
間取りがクランクインタイプだと、玄関先にいる来客の目線を壁で遮ることができるの
で、プライバシーの確保に役立ちます。
また、玄関から見える廊下を通らずに、寝室からリビングに通り抜けできる間取りにな
っていれば、「パジャマ姿で来客とばったり」という心配もなくなります。
このように、住戸の間取りや設計に関しても、プライバシーに配慮したものとそうでな
いものがあります。
バシー確保に配慮した設備も相次いで登場しています。
玄関部分に「玄関ポーチ」があれば、玄関から共用廊下までの間に空間が生まれるので、
ドアを出ていきなり誰かと鉢合わせする恐れも少なくなります。
共用廊下と建物の間に吹き抜けなどの空間をつくる「空中廊下」も、プライバシーの確
保に有効です。
空中廊下を採用すると、玄関から共用廊下へは橋を渡るような構造になるので、共用廊
下を通る人の気配や視線を気にしなくてすみます。
ただ、こうした設計・仕様の中古マンションではどうしても死角が生まれやすくなってしま
います。第三章で指摘したように、プライバシーとセキュリティの相反性には注意が必要です。
廊下に面した窓や窓ガラスにもプライバシーに配慮したものがあります。窓に「ルーバ
ー面格子」があれば、ルーバーの角度を変えることで外部の視線を遮ることができます。
同時に、採光や通風も確保できます。
窓ガラスがすりガラスになっていれば、外部からの視線を遮ることができます。ただし、
外の景色が望めないというデメリットもあります。
一基のエレベーターを同じ階の二〜三戸で共用し、共用廊下を通る人の数を減らすこと
で、プライバシーの確保をはかることもできます。エレベーターの設置費用やメンテナン
ス費用がかさむという欠点もありますが、「二戸一エレベーター」タイプなら外廊下がな
くなるので、両面バルコニーなど多彩な間取りプランが可能になります。
また、これは設備とはいえませんが、バルコニー側の前面環境も、プライバシーの確保
にとても関係があります。たとえば、周囲に高い建物がない立地にあるマンションの高層
階なら、外部の視線も届きにくいので、バルコニー側のプライバシi性が高くなります。
どのディベロッパーでも配棟計画は似たり寄ったりになりますが、敷地が広い大規模マン
ションになると各社の独自性を打ち出すことができます。
配棟計画に基づくマンションの建物の配置形状によって、プライバシi確保が大きく左
右される場合があります。
中古マンションの配置形状は1型かL型が一般的ですが、なかにはE型、F型のものもあり
ます。E型配棟、F型配棟には、「E」と「F」の縦線にあたる箇所の外廊下から、横線
にあたる住居のバルコニーや室内が丸見えになるというプライバシー上の大きな欠点があ
ります。
1型配棟や複列(複棟)の場合には、プライバシーはバルコニー側の前面環境に大きく
関ってきます。
日当たりを重視して東京23区の中古マンションを選ぶ人も多いと思います。日当たり良好の住戸で快適な生活を送りたいと考えているなち、「日照」に関して入念にチェックすることが不可欠
といえます。
大半の中古マンションは建物が建てられる前に契約する「青田売り」ですから、購入者は実
際の日照を体験することができません。南向きだから、あるいは上層階だから日当たりが
いいとはかぎりません。たとえ住戸が南向きでも、隣接地の環境次第では、まったく日が
当たらないこともありえるのです。
だからこそ、現地を訪れて、周囲の建物、樹木の状態、鉄塔など日照に影響を及ぼす恐
れのある構造物などの有無を自分の目で確認する必要があるのです。
とはいえ、周囲の構造物などがどの程度日照を遮るのか、一般の方にはなかなか判断で
きないと思います。もし、モデルルームや販売所に用意されていれば「日影図」を見せてもらってください。
日影図というのは、建物の影の形を時間ごとに示した図のことで、マンションのモデル
ルームには、販売中のマンションや敷地に影響を及ぼしている隣地の建物の日影図が置い
てあることもあります。「敷地日影図」はマンションの敷地に隣地の建物の影がどのよう
にかかるかを表し、「立面(壁面)日影図」では中古マンションの何階辺りまで隣地の建物の
影がかかるかを見て取れます。また影の形の表現には二種類あり、朝八時から夕方一六時
までの一時間ごとの影の形を表したものと、等時間日影図(たとえば入時から一六時まで
の間に合計約三時間影になってしまうラインを表したもの)があります。一年のうち一番
日照が期待できない冬至時の日影図で確認します。
補足ですが、上記の影のラインは地面に落ちる影のラインではなく第一種および第二種
低層住居専用地域では敷地の平均地盤面から一・五メートルの面に及ぼす影であり、その
他の地域では敷地の平均地盤面から四メートルの面に及ぼす影になります。たとえば、第
一種低層住居専用地域の一階の部屋の腰窓の窓台の高さが影になるかならないかといった
目安です。
たとえ調査時点で周囲に日照を遮るような構造物などがなく、日影図を見ても問題がなさそうだからといって、安心はできません。購入時点で日当たりがよくても、隣接地に空
き地、駐車場、古い建物などがある場合には、突然巨大な建物が建って、一転して日当た
りが悪くなる可能性があります。
近隣に空き地があるなら、用途地域や建物の建設予定の有無などを事前に確認しておい
てください。また、隣接地が空き地などの場合でも仮想建物での日影図を作成している場
合もあるので、現在の日影図と合わせて見せてもらいましょう。
マンションの周辺環境だけでなく、東京23区の中古マンションの形状・配置によっても日当たりは大きく変わってきます。
先に指摘したE字型やF字型のマンションでは、縦線と横線が交わる部分に近い住戸で
は、中層階から下になると日当たりが悪い住戸が多くなります。
E型やF型だけでなく、複列や「コの字型」のマンションでも、住戸の位置によっては
「自己日影」といって他の棟が日照を遮ることがあります。複列やコの字型の東京23区の中古マンションでも、他の棟からの日影を必ずチェックしておきましょう。
最近では「斜面型」や「地下室タイプ」といった変形マンションが増えていますが、こ
うした東京23区の中古マンションには日照以外にもチェックポイントがあります。
たとえば、丘の上から斜面に沿って階段状に建てられた「斜面型」の場合、日当たりが
よく、広いバルコニーがつくれて開放的な雰囲気を味わえる、眺めがいいなどの長所があ
ります。しかし、一方では崖に面しているので湿気対策が必要になります。崖崩れを防ぐ
対策も要チェックです。
伺様に、地下室タイプに関しても、十分な湿気対策がとられているかどうかの確認が不
可欠です。